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研究者がノーベル生理学医学賞の候補に挙がるほど、注目されている『小胞体ストレス』とは?

今回は、研究者がノーベル生理学医学賞の候補になるほど、注目されている小胞体ストレス( endoplasmic reticulum stress)の研究について取り上げさせて頂きます。

小胞体ストレスとは?

細胞内小器官である小胞体(ER)に、タンパク質が正常に折りたたまれず異常タンパク質(不良タンパク質)が蓄積してしまう状態のことです。この状態は、栄養飢餓、低酸素、酸化ストレス、遺伝子変異など様々なストレスによって引き起こされ、細胞は適応反応(小胞体ストレス応答、UPR)を起こしますが、過度なストレスは細胞死(アポトーシス)につながり、神経変性疾患や糖尿病、がんなどの病気に関与することが示唆されています。

小胞体ストレスの研究で、ノーベル賞前哨戦”ラスカー賞(2014米)を受賞した京都大特別教授、名城大学の森和俊特任教授が、去年に続きノーベル生理学医学賞の候補に名前があがり話題となっていました。惜しくも受賞はなりませんでしたが、この研究分野は多くの方を救うことができますので、これからもますます注目されることでしょう。

森和俊(もり かずとし)氏


不良たんぱく質ためない仕組み 生理学・医学賞では、・京都大特別教授(67)に注目が集まる。森氏は、細胞内にたんぱく質の不良品がたまるのを防ぐ「小胞体ストレス応答」という仕組みを解明。 米国最高の医学賞とされる「ラスカー賞」やカナダの医学賞である「ガードナー国際賞」などを受賞。

小胞体ストレス応答とは?

小胞体ストレスのメカニズムを順を追って確認してみましょう。

小胞体ストレスの発生

細胞の「タンパク質工場」である小胞体で、折りたたみが不完全なタンパク質が蓄積する状態です。これは、タンパク質の製造過多、酸化ストレス、細胞の栄養不足など、様々な原因で起こります。

ストレスセンサーの活性化
小胞体膜上に存在する「PERK」「ATF6」「IRE1」という3つのセンサータンパク質が、異常タンパク質の蓄積を感知し、シグナルを伝達します。
小胞体内で異常なタンパク質が蓄積し、細胞にダメージを与える「小胞体ストレス」が発生した際に、細胞が自身を保護するために発動する一連の防御システムです。具体的には、新しいタンパク質の合成を一時的に抑制してさらなる異常タンパク質の蓄積を防ぎ、タンパク質の正しい折りたたみ補助や、すでに蓄積した異常タンパク質の分解を促進することで、細胞の機能を回復させようとします。

応答の実行
伝達されたシグナルに基づき、以下の3つの応答が実行されます。
1.タンパク質合成の抑制
新しいタンパク質の合成を抑え、異常タンパク質の蓄積をこれ以上増やさないようにします。
2.分子シャペロンの誘導
タンパク質の正しい折りたたみを助けるタンパク質(分子シャペロン)の産生を促進します。
3.小胞体関連分解(ERAD)の活性化
蓄積した異常タンパク質を、小胞体から引き出して分解する仕組みを活性化させます。

細胞死(アポトーシス)
これらの応答が効果を発揮せず、小胞体ストレスが過度または長期にわたる場合、細胞は最終的にアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導して、細胞自身の死を招きます。

小胞体ストレス応答と関連する疾患
小胞体ストレスは、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)や糖尿病、がん、炎症性疾患など、多くの病気の発症や進行に関与していると考えられています。

小胞体ストレスの研究で得られるもの

1.病気の原因解明と新たな治療標的の発見
2.診断法・治療法の開発
3.細胞の基礎的な機能解明
小胞体ストレスの研究からは、病気の原因解明、新たな診断法・治療法の開発、細胞の機能やメカニズムの理解が得られます。具体的には、糖尿病、神経変性疾患、がん、動脈硬化などの疾患と小胞体ストレスとの関連性が明らかになり、ストレスを測る新しいマーカーや、ストレス応答を制御する新しい治療薬の開発につながることが期待されています。

美容分野での研究について

『細胞に圧力がかかると小胞体ストレスが発生 表情表出時にシワが固着する一因に』
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社は、表情に伴う皮膚の変形によって発生する「表情圧」の研究を進め、以下を発見しました。
①皮膚細胞に表情表出時のような圧力がかかると、タンパク質産生低下に繋がる「小胞体ストレス」が発生
②小胞体ストレスを軽減する植物エキスを発見

認知症分野の研究について

『アルツハイマー病などの診断技術開発、発症解明に新たな可能性』
広島大学大学院医系科学研究科の齋藤敦 准教授、松久幸司 助教、今泉和則 教授らを中心とした研究グループは、不良タンパク質が小胞体内に蓄積することによって生じる「小胞体ストレス」のマーカーとなる新たな物質を見出しました。小胞体ストレスはアルツハイマー病などの神経変性疾患の発症や病態形成と密接に関わると言われています。

タンパク質分野の健康屋本店お薦めサプリメント

ヒートショックプロテイン(HSP)は、熱ストレスなどの外部からの刺激によって細胞内で作られるタンパク質で、細胞を損傷から守り、傷ついたタンパク質を修復する働きがあります。これには、疲労やストレスの軽減、肌の老化予防などの美容・健康効果が期待できます。その研究を元に開発したのが『HSFエイチエスエフ』です。



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